狩猟を通じて「命をいただく」リアルに触れる|北色ーKITAIROージビエフレンチ堪能ツアー

福知山市を拠点に北近畿エリアの魅力を堪能する体験を提供する「北色ーKITAIROー」。

今回紹介するのは、福知山市夜久野町で行われる「ジビエハンターと行く!リアル狩猟体験&絶品!ジビエフレンチ堪能ツアー」。

ツアーでは、自然の中で狩猟から解体、精肉までの作業を見学する。

一連の流れを見学した後はジビエを使ったフレンチをいただき、改めて命の重みを感じ、食べることについて考える機会となっている。

実際にツアーを体験し、猟師の中島健太郎さんとシェフの塩見晋作さんにお話を聞いた。

命と向き合うジビエ体験

中島さんは、猟師歴20年。

23歳で農業を始めてまもなく、鹿による農作物の被害が続いた。

農作物を守るためにやむを得ず、猟銃免許を取得。独特の臭みに苦手意識があったため、最初は狩猟した鹿を食べるつもりはなかった。

しかし、自ら捌いて食べてみると、その美味しさに驚いたそうだ。

ジビエツアーの前半では、中島さんについて狩猟を体験。

くくり罠や箱罠といった狩猟で使う道具などの説明を受けた後、一緒に山へ入り実際の狩猟を見学。

狩猟した鹿を加工施設へ運び、解体から精肉までの作業も見ることができる。

解体を担当するのは、中島さんの息子・紳之介さん。

まずは肉に臭いがうつらないように内臓を慎重に取り出し、健康状態を見極めながら食べられる部位を素早く取り分けていく。

その手際の鮮やかさには目を奪われる。

部位ごとに捌いた肉は、料理人でもある中島さんの手によって鹿の宇治茶カレーやレバーカツなどの絶品ランチに生まれ変わる。

鹿肉を知り尽くした中島さんならではの調理法で、脂の少ない鹿肉でも旨みをしっかりと感じられた。

ツアーを通じて「食べるという行為は、命をもらうこと」だと知ってほしいと中島さん。

狩猟を行う山道には動物たちを弔う供養塔が建てられている。

「命の重みを感じ、感謝しておいしくいただくことも供養になる」と語るのは、今回ツアーに同行してくれた、猟師の住垣真寿夫さん。

狩猟を通じて食への意識を高め、命の重みを伝えたいという2人の強い思いがにじむ。

将来的には「もっとジビエを身近なものにしたい」と語る中島さん。宿泊や食事、狩猟体験を一貫して楽しめる施設の設立も視野に入れている。

ジビエを通じて動物たちの命に向き合い、食のあり方を考える。そんなきっかけを届けたいと考え続けている。

命の循環を味わうフレンチ

狩猟体験が終わった後は、広小路商店街にある本格フレンチレストラン「Bistrot q」で、塩見晋作シェフが腕を振るった鹿肉のコース料理を味わう。

ジビエコースの主役は、中島さんから仕入れた鹿肉「丹波もみじ」。中島さんから仕入れる肉は新鮮で臭みがない。

それは高い技術、経験値がなせる技だとシェフは太鼓判を押す。

旨味がぎゅっと凝縮された鹿のダブルコンソメは、肉を煮込んで作る、非常に濃厚で風味豊かなコンソメスープだ。

低温調理された鹿のステーキは、しっとり柔らかく、赤身の上品な味わいが際立つ。

塩見シェフの父が営む畑で採れた新鮮な野菜と合わせることで、滋味深い味わいを堪能できる。

中島さんとの出会いから、いつかはジビエでコースを組みたいと考えていた塩見シェフ。

「このツアーの魅力は、命の流れを感じられること。食材を当たり前に消費している現代ですが、生きていた動物が料理になるまでの過程を知り、改めて食べ物に感謝する機会を持つことで、粗末にしない気持ちが育つと思う」と真剣な眼差しで話してくれた。

ジビエ料理を通じて、命の循環に心を寄せる体験を提供する。物語のある一皿が、訪れた人の心に静かに命の尊さを問いかける。

北色ーKITAIROー
ジビエハンターと行く!リアル狩猟体験&絶品!ジビエフレンチ堪能ツアー
HP:https://www.kitairo.jp/experience/event26/
Instagram:https://www.instagram.com/kitairo2021/
運営:サードプレイスツーリズム協議会

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる